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特集にあたって 40年余り前、東海道新幹線の構想が発表されたころ、欧米では鉄道斜陽論が聞かれた。19世紀後半に急速に発達した鉄道は20世紀の前半までは特性を大いに発揮したが、戦争で社会基盤の整備が遅れた日本はともかく道路・航空輸送の発展の前に競争力を失いつつあったのである。新幹線計画の推進の支柱は、鉄道は近代化さえすれば決して斜陽ではないという国鉄トップの信念であった。開業後の新幹線はその正しさを実証し、欧州の鉄道先進国をあわてさせた。新幹線は世界最初の200km/h運転の高速鉄道であったから、その初期は未知の事柄も多くシステムの確立までには長い時間と経験の蓄積を必要とした。今日ごくあたりまえに走っている新幹線は、そうした先人の苦心の上に成り立っている。しかし世の中は変わり、鉄道に対する期待や位置付けも変化してきている。それに呼応した近代化を図らなければ、鉄道は再び斜陽化の道を歩むことになりかねない。21世紀の時代に適合するための新幹線の近代化とは何か。無事に運ぶだけで足るというものではないだろう。 |
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