2007年6月 のアーカイブ

「スーパーはくと」のスピード

2007年6月19日 火曜日

 本誌7月号「スーパーはくと」の記事に関して、HOT7000系車両の特徴でもある振子の機能を働かせて走行する区間は智頭急行線内だけではないかというご指摘を何件か、いただいています。智頭急行が開業し、「スーパーはくと」が走り始めた時点では、最高速度130km/h、かつ曲線での速度制限緩和という運転条件は智頭急行線内だけでしたが、鳥取地区での山陰本線・因美線の高速化工事完成にあわせ、2003年10月から、因美線智頭−津ノ井間では最高速度95km/h、津ノ井−鳥取間は110km/h、曲線通過速度はともに本則+10km/h、山陰本線鳥取−倉吉間では最高速度120km/h、曲線通過速度は曲線半径により本則+20ないし30km/hとなっています。同区間を走るキハ187系による列車も同じ条件です。

 これにより2003年10月改正時点では大阪−鳥取間は最速2時間19分(10分程度の短縮)となっていました。単線区間での行き違い待ち合わせなどで列車により到達時間には幅があります。現行ダイヤは2003年10月時点と比べて若干延びており、JR神戸線における快速電車等のダイヤ見直し措置による影響も見受けられます。現行の最速列車は大阪−鳥取間で2時間24分です。

 「列車追跡」では、記事の性格上、テクニカル面の深い記述を連ねることが難しく、結果的に言葉足らずの面が生じたことは、今後の検討課題としたいと思います。

 なお、振子車両が所定の速度向上区間以外を走行するときは、制御シリンダへの圧力空気等の供給を遮断することにより、自然振子の作用についても中立に固定される仕組になっています。

姉妹誌「旅と鉄道」の月刊化

2007年6月16日 土曜日

 タビテツこと季刊「旅と鉄道」が、今秋9月発売号から月刊に切り替わります。発売日は毎月10日に変わり、9月10日発売号が10月号となります。同時に誌面構成などもリニューアルし、判型は本誌と同じB5判、ページ数を若干絞って定価780円とします。誌面の内容など詳細は次号でご紹介します。

 ところで、「旅と鉄道」月刊化によって、鉄道ジャーナル社発行の定期雑誌が毎月2つということになります。じつは以前に鉄道ジャーナルの隔週、月2回発行を検討したことがあり、次号発売までの1ヵ月が長く待ち遠しいというご声援にお応えすることと、幅広い多くの話題の詰め込み編成を緩和するという両面を考えてのことでした。もちろん「鉄道ジャーナル」と「旅と鉄道」は別の雑誌ですが、同じく鉄道をテーマとし共通する部分も少なくありません。今回の措置により多少変則的ながら鉄道ジャーナルの月2回刊行に近づくのではないかと、自負し、期待もしているところです。

最近の列車内設備とインテリア

2007年6月15日 金曜日

 鉄道を利用する立場で、新しい鉄道の変化を最も強く感じることは、車内の設備や環境といった快適さであるように思われます。国鉄の近代化と輸送力増強が進められたのは数十年前の1960〜70年代にかけてのころでしたが、つねに先行する形で旅客輸送の需要が急増したことから、次々登場する新型車両も定員の確保が優先され、長距離輸送を担う急行形は旧型客車と同じボックスシートで量産されました。新幹線でさえ普通車座席は横5列となり、これは今日のN700に至るまで踏襲されています。国鉄時代の特急列車のスタンダードは、普通車は2人掛け回転式シートで色は青、グリーン車は赤のリクライニングシート、前後の座席の間隔は普通車91cm、グリーン車116cmでした。また車両の標準化という考え方が根強くあったために、大都市圏でも地方幹線でも車内に関しては同じ仕様が採用されてきました。実際には、現在と違って当時は地方路線でも鉄道の利用者が多かったので、画一的な設備でも間に合っていたのかも知れません。

 車内設備や室内のデザインに目が向くようになったのは、だいぶ時代が下って1980年代になってからでした。高速道路の整備や航空の普及に伴って鉄道利用者の漸減傾向に歯止めがかからない情勢になったことがきっかけです。鉄道車両の設計にデザインを前面に押し出した最初の成功例は2階建て新幹線100系で、続いて登場した近鉄のアーバンライナーでしょう。いずれも座席などの改善とともに車内での居心地のよさが一変しています。ちょうど国鉄からJRへと切り替わるころでしたから、JR各社でも特急列車のデザインには面目にかけても取り組む姿勢を見せ、多くの魅力的な列車の登場につながってきたことになります。

 そうしたなかで、やはり注目されるのはJR九州がこだわって導入してきた「デザイン」でしょう。「つばめ」の787系電車や後に続く883系、885系などは、まず外観の斬新さや色使いに目がいきますが、車内に関しては、デッキから客室への構成や座席の配置、基本的な寸法などベースは変わっていません。印象が大きく違ってしまうのは、おもに床や壁面、座席などに使われる素材や色の違い、外光や照明による光の「遊び」のせいと思われます。一方、観光要素の強い列車では窓側に向けた座席や展望のための特別な設備を設ける例がありますが、こうした変則的な設備が最近では一部を除いて標準的な設備に戻ってきています。一般的な利用者にとっての、特急列車は2人掛けの一方向きシートで、デッキの奥にはトイレがあるという「刷り込み」は決して軽視できず、個室や2階建てなどの変則的な設備は、それぞれの需要はあるものの一時的な話題に留まることが多いようです。JR九州における多彩な試みも、基本を崩していないことが利用者の評価につながった一因ではないでしょうか。デザイン関連の特集においては九州の話題が出ることが多いのですが、今号(8月号)ではそうした観点から改めて見つめ直すことにしました。

(2007年8月号:編集後記)