既存の鉄道を守るには。

 海外の鉄道を紹介するテレビの帯番組がありますが、車窓の美しさもさることながら、日本とは比較にならないほど田舎の路線なのに、列車は普通に走っていて、それなりに乗客がいることに意外な感じを受けます。乗客は子どもや老人よりは若い人が多く、人となりはさまざまですが目的があるらしく、みんな楽しそうです。車両は古いものの昔ながらのボックスシート車で、それが3両編成くらいで走っています。

 この様子は、日本のローカル線の実態とはまるで違っています。日本なら昼間の列車はまずガラガラで、列車は単行の気動車、ロングシートでしょうし、あの利用状況ならいずれ廃止が取り沙汰されるかも知れません。おそらく、彼らも駅までは自家用車で来るか誰かに送迎してもらうのだろうし、隣町に行くにも距離があるとか車の維持の問題とか、画面からはわかりにくい事情もあるのでしょうが、いわゆる過疎地で鉄道が普通に機能していることは確かで、日本の実態と照らし合わせると不思議に思えます。国や自治体等の助成措置があるかもしれませんが、別段、地域で乗車運動をやっているという様子もうかがえません。

 日本では、地方私鉄での事故ののち保安基準が厳しくなり、資金力がなく基準をクリアできないことをきっかけに多くの鉄道が廃止されました。しかし、廃止されて非常に不便になったという声はあまり聞かれません。ローカル線の乗客減少の理由は主にモータリゼーションですが、客が少ないからと不便なダイヤ、貧弱なサービスでよしとしてきた鉄道側にも問題があるように思えます。しかし、鉄道に対する考え方の彼我の違いは、マイカーに対する意識の違いでもあるように思います。歩いて5分のところでも車を出す。列車で問題なく行けるのに車を使う。そういう習慣は、いつごろ、どうやって醸成されてきたのでしょうか。

 ローカル線に限らず、東京の通勤電車や新幹線も、ごく普通に本来の機能を発揮し役割を果たす。昭和40年代くらいまでは、そうだったように思いますが。

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