真島さんのこと。

鉄道ジャーナル12月号の巻頭には、「真島満秀 線路際の一期一会 (追憶)」を掲載しました。

 写真家、真島満秀さんが急逝されてから半年余りが過ぎました。本誌とは30年近いお付き合いで、多くの魅力的で味わい深い作品を提供してくださいました。今月の巻頭ページは、そのなかから思いのこもった作品をいくつか選ばせていただき掲載しています。じつは以前から真島さんの写真展が予定されていたため、それまで本誌での作品掲載を見合わせていた経緯があります。写真展は先ごろ品川のキヤノンギャラリーで開催されましたので、ご覧になった方も少なくないのではないでしょうか。

 真島さんの作品には、人の暮らしやさまざまな思いに寄り添うような温かさがあります。それが北国の風雪や古い構造物を写したものであっても、そこに関わってきた人々のことを思わせるほどの深い愛情が込められているように感じていました。地を這う鉄道は季節の移り変わりを敏感に反映すること、多くの人の仕事や生活と密接に関わっていること、それが真島さんが鉄道を撮る動機であったようです。

83年5月号表紙

 巻頭の作品中の異色は26ページの上野駅地平ホームの写真ですが、これは「上野駅100年」を特集した本誌1983年5月号の表紙(写真)に使用した作品の一つ前のコマにあたります。表紙の写真は、背筋を伸ばし出発合図を送る駅員の凛々しい姿が印象的ですが、おそらく、その撮影を控えて彼らに何かと語りかけるなどして緊張をほぐし、最高の瞬間を待ったのではないかと思われます。そういう見えない努力が、真島さんの真骨頂でもありました。

 真島さんの作品発表は今年4月号掲載の「街と人東京駅前ストーリー」をもって完結しました。ライカを手に街を歩く目の高さで日常の風景を軽やかに切り取っていったもので、真島さんとしても新境地を開く取り組みだったと聞きました。このときも、寒空の下、街角の人たちとも親しく言葉を交わしながら撮影されていたのではないでしょうか。25ページに掲載した神田駅ガード下の風景がまさに最後の写真となりました。

(鉄道ジャーナル12月号:編集後記)

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