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特集にあたって 列車ダイヤのありようは、車両の善し悪しとともに鉄道の商品価値を大きく、そして直接的に左右するものである。国鉄時代の一時期は輸送力増強が最大の目的であったが、最近では生き残りをかけたステップアップが重要な課題である。日本の鉄道が誇る緻密さが最もよく表われているのが乗換え駅での接続であり、巧妙に作られた列車ダイヤと、秒単位の運転を確実に遂行するための施設や運転保安設備、運転操縦法と運行管理がある。ローカル線でも乏しい設備を最大限に活用する工夫が見られる。じつは、列車ダイヤの作成と日々の管理は、輸送管理のコンピュータ化が進んだ今日にあっても人間の経験と直感がものをいい、そこには伝統的な職人芸の要素とともに人間くさい不合理や心情が入り込む。そのことが一面では不便や不都合を招くこともあろうが、大方は多数の列車を円滑に大過なく運行できる要因にもなっているのではないだろうか。現代になお、人間が中心となって管理しているという一面は、列車ダイヤに対する興味をいっそう盛り上げるに違いない。 |
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